ESG、スチュワードシップ・コードに対する取り組み

ESG、スチュワードシップ・コードに関する当社の方針

アーク東短オルタナティブ株式会社(以下、「当社」)は、プライベートファンド投資(以下、「投資ファンド」 *注1)において、ファンド運用会社(以下、「GP」)の委託を受け、投資家であるお客様・受益者(以下、「LP」)から資金を募集する業務を担っております。現状、当社は、国内外株式投資の自家運用は行っておりません。投資ファンド等を通じてGPとLPをつなぐ仲介者としての間接的な役割において、運用に貢献しております。当社は、仲介役であるからこそ、GPとLPとの間で、エンゲージメントすることが、投資ファンドの健全な発展における当社の社会的責任であると認識しております。

*注1:当社ビジネスにおいて一部、不動産ネットリースや航空機など、GPが実体ある資産を取得し、それらをテナントなどに貸与するファンド運用もあります。この運用においては、投資対象が企業ではないがゆえに、GPが主体的に投資先に対して、ESG方針、及びスチュワードシップ・コードの原則に従わせることは、容易ではないと認識しております。当社としては、GPに対して、問題意識を共有しながら、建設的な「目的を持った対話」によって、ESG、及びスチュワードシップ・コードに則した認識が拡散するよう、努力する所存です。

責任投資(ESG)取組み基本方針2024年3月1日改訂

当社は、投資ファンドの適正評価手続き(デューデリジェンス)に関して、責任投資(ESG投資)の観点を取り入れることが必要不可欠であると認識しております。当社のフィデューシャリー・デューティ(受託者責任)と矛盾しないかぎり、投資ファンドの健全な発展に関する社会的責任を全うして参ります。その為、それらの実践のため以下の5つの活動方針を制定しております。

方針1. ESGに関する組織体制を整備します。

● 当社はESG投資を実践する専門の組織を有しておりません。その為、当社は、ESG課題に関する組織体制を整備するため、コンプライアンス統括部がESG課題に関わる活動を推進します。また、PEファンドの投資先のESG投資に対する取り組みについては、GPからの報告書やGPとのエンゲージメントを通して、PEファンドの調査、デューデリジェンスを担うプロダクト戦略部が確認を行います。
● 投資運用業務以外の部署においても、それぞれの関連業務の観点からESGを意識した運営を行うよう努めます。

方針2. 投資ファンド選定プロセスにおいてESG投資に関して考慮し、実践します。

● 当社は、投資ファンドを選定するプロセスにおいて、ESG投資を考慮します。当社プロダクト戦略部におきまして、投資ファンドのGPに対し、投資ファンドのデューデリジェンスを行う際には商品概要をチェックし、定期的に報告書、契約書等の内容を確認し、必要かつ可能であれば、目的を持った対話(エンゲージメント)によって精査いたします。その精査において、ESGを含む中長期的なサステナビリティを考慮しながら、確認を進めております。

方針3. ESG投資に関して情報収集を推進しています。

● 投資ファンドのGPが作成するESG報告書、サステナビリティ報告書は、投資ファンドのESG投資活動・実績の情報を開示しているものとして、当社の業務範囲内でそれらの情報を活かしていく努力をします。
● ESG投資に関する有益な情報を、当社のホームページや他のメディアを通して発信するよう努めます。

方針4. ESG投資についてステークホルダーとの対話を行います。

● 当社の業務を通して、ESG投資に関してステークホルダーと対話をすることで、ESG投資への理解をお互いに深めていくことを目指します。その際には、ESGを含む中長期的なサステナビリティを重視します。

方針5. ESGへの対応を自ら実践します。

● 当社は、ESGへの対応を可能な限り自ら実践し、ステークホルダーと友好な関係を構築し、維持することに努めます。
● PE市場におけるESGの浸透とその状況、加えて弊社内でPRIに対応できる運営体制を定期的にチェックし、実力の具備に努めながら、今後の方針を決めていく必要があると考えます。

プライベート投資におけるスチュワードシップ基本方針2023年9月1日改訂

当社は、投資ビジネスにおいて、日本版スチュワードシップ・コードの趣旨・精神に賛同し、以下の通り、本基本方針に沿ってスチュワードシップ責任を果たして参ります。また、当社は、「責任投資(ESG投資)取組み基本方針」を策定し、当社の活動の基盤とし、スチュワードシップ・コードの原則に以下のように思考、対応しております。

原則1. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

当社は、LPから委託された資金を運用しLPの利益向上を目指す運用会社として、顧客本位の業務運営を果たすため以下の取組みを行っています。

● LPの資産の保全、拡大を常に最優先の運用目的として、プライベート・アセットにおける投資ファンドを選別し、その運用戦略を採用・提供します。
● 投資ファンドのデューデリジェンス(投資適性評価)において、投資ファンドのGPに対しては、まず商品概要をチェックし、定期的に報告書、契約書等の内容を確認し、必要かつ可能であれば、目的を持った対話(エンゲージメント)によって精査します。その精査の過程において、認識齟齬があると判断した場合には、さらに一歩踏み込んで確認するよう努めております。このように、ESGを含む中長期的なサステナビリティを考慮しながら、確認を進めていくことで、スチュワードシップ責任を果たすよう努力します。
● インベストメント・チェーンにおける当社の立ち位置を自覚しながら、資産運用ビジネスを通して、LP、および社会から末永く信頼される運用会社として、社会の発展に貢献していきます。
● 当社も投資ファンドに対し「コンプライ・オア・エクスプライン」の立場をとり、投資ファンドによる「エクスプレイン」に十分な合理性があるかどうかを当社のプロダクト評価委員会で吟味した後、投資委員会で審議し、投資判断します。
● 当社は、スチュワードシップ・コードの受入表明、及び各原則に基づく公表項目を自社のウェブサイトに公表します。
● 当社は、当該公表項目について、柔軟に見直し、更新を行うことも視野に入れて、本質的なスチュワードシップ責任の遂行を目指します。

原則2. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

当社は、利益相反について、基本となる「利益相反取引規程」を策定しています。また、それに基づいて、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、ウェブサイトに「利益相反管理方針」として公表します。具体的な考え方と活動事例は、以下の通りです。

● 利益相反に関する弊害防止措置に関する社内規程に基づいて、それぞれの投資ファンド担当者が、定期的にGPに利益相反がないかを確認し、その結果を取りまとめて、コンプライアンス統括部に報告しています。
● 個別具体的な利益相反の有無確認、報告義務は、当該取引の担当者にあり、それらを含めた利益相反に関わる責任者は、コンプライアンス統括部長にとなります。
● コンプライアンス統括部は、利益相反取引の有無及び弊害防止措置の実施内容について、取締役会に報告します。
● また、経営陣が自身の役割と責務を認識し、コンプライアンス統括部からの報告等を踏まえ、利益相反管理体制の在り方を真摯に議論します。

原則3. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

当社は、投資ファンド、および投資ファンドの投資先企業の状況(運営、業績、企業価値を毀損する恐れのある事項等)または企業価値改善策の内容を観察し、可能な限り状況把握に努めます。当社としては、PEの専門業者として、適格な判断ができるよう、日々実力の具備につとめております。当社の投資ファンドに対するデューデリジェンス項目において、不足のある場合には、より詳細に調査を行います。具体的な考え方と活動事例は、以下の通りです。

● 投資先企業の事業内容や事業環境、経営等について、深い理解に努めます。
● 企業のファンダメンタルズを調査・分析する際には、財務情報だけでなく、必要に応じてESG課題への対応状況や背景にある戦略や哲学等非財務情報も対象とします。
● 当社は、投資対象の状況を的確に把握することがエンゲージメント(投資先企業との建設的な目的を持った対話)を行う上で必要不可欠な前提条件であると認識しております。当社は投資ファンドの状況を的確かつ継続的に把握しモニタリングします。
● 投資ファンドを採用する際には、プロダクト評価委員会を実施し、3段階に分けて協議することで内容を精査しております。また、投資ファンドの条件等の変更がある場合は、適宜投資委員会を実施し、投資判断を行います。また、内容によっては関係者で協議のうえ投資判断者が意思決定します。
● 投資ファンドを定期的にモニタリングする際に、可能な限り投資ファンド及び主要投資先企業の状況(運営、業績、事業におけるリスク、収益機会、企業価値を毀損する恐れのある事項等)または企業価値改善策の内容をモニタリングし、状況を把握するように努めます。

原則4. 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

当社は、投資ファンドにおいてGPと積極的にコミュニケーションをとり、投資先企業やその事業環境等に関する理解を踏まえ、『目的を持った対話』(エンゲージメント)を継続的に実施しています。GPを通して、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促し、GPと問題意識を共有し、問題解決に努め、最終受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ります。具体的な考え方と活動事例は、以下の通りです。

● 当社は、投資ファンドの採用に当たり、投資先企業の企業価値の保護、創造に向けて建設的なエンゲージメントを行うことの重要性を認識しております。
● 当社では、採用している投資ファンドに関して、LPに対し四半期ごとに現況の報告を実施しております。GPからの報告書を受けるのみならず、当社から適宜適切に質問を発出し回答、報告を受けております。また、GP主催の四半期報告会に出席しLPに対し報告書を作成しております。また、海外ファンドにおいても定期的な訪問やオンラインミーティングを通じて、エンゲージメント強化に努めております。
● 当社は、投資ファンドの運用実行者であるGPに対し、LPの代わりとして、スチュワードシップ責任を適切に果たしているかモニタリングするよう努めます。
● 当社は直接株式を保有しないため、議決権行使は行えません。しかしながら、GPに対して、投資対象先企業へ、サステナビリティの考慮に基づくエンゲージメントを行うよう働きかけて行きます。
● 投資ファンドの諮問委員会(Advisory Committee、AC)に参加する場合には、投資対象先企業の持続的成長を図るよう主張して行きます。

原則5. 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

当社は、現状、上場日本株式投資の自家運用は行っておらず、議決権行使を実施することはございません。しかし、当社は、適切な議決権の行使が投資先企業の持続的成長に資するとの考えのもと、投資ファンド等を選定する方針です。具体的な考え方と活動事例は、以下の通りです。

● 投資ファンド等において、LP持ち分としての議決を求められた場合には、投資判断者が、LPの立場に立って判断します。また、当社投資委員会を開催し、内容を関係者で吟味、検討したうえで、投資判断者、あるいは投資委員会が最終的に意思決定します。
● また、LP持ち分としての議決を求められ、意思決定した場合、その内容、その意思決定に至った経緯等についてLPへ説明します。その際、前述「コンプライ・オア・エクスプレイン」の考えに基づき行うよう努力いたします。

原則6. 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

当社は、LPに対して、スチュワードシップ活動を通じてスチュワードシップ責任をどのように果たしているかについて、報告を行うように努め、またステークホルダーからのフィードバックを取り入れて、スチュワードシップ基本方針の改善に努めます。具体的な考え方と活動事例は、以下の通りです。

● スチュワードシップに関する考え方は、時々の議論に応じて変化するため、ステークホルダーとの対話の中で常に意識するよう心掛けます。
● 日頃の営業活動を通じて「スチュワードシップ基本方針」の活動内容を発信するよう努めます。

原則7. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

当社は、対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行う実力を具備するために以下のような取り組みを行うよう努めます。

● 当社は、ファンダメンタルズの調査・分析の一環として、投資先企業やその事業環境やサステナビリティ等の状況を的確に把握するため、投資ファンドにおけるGPとの対話を定期的に行い、GPの意見に真摯に耳を傾け、相互理解が深まるよう努力いたします。
● 当社ではGPとの定期的な対話、および四半期報告書を通してスチュワードシップが発揮されているかを、必要に応じて確認します。
● 当社の投資判断者は、投資ファンド等が「効果的なエンゲージメントを行う能力のある運用者であるかどうか」を判断する実力を備えるよう努めます。
● 当社は、国内外の投資家との意見交換を行うなど、スチュワードシップ活動に関する知見を深め自己研鑽に努めます。
● 当社は、業界関係者にPEに関する専門知識を提供するセミナーを開催しております。ステークホルダーから、様々な課題に関するフィードバックを得ることができる機会と考えています。プライベート・アセットにおけるスチュワードシップが、より適切なものになるよう貢献する所存です。
● 経営陣は、運用機関としてのスチュワードシップ責任を果たすため、スチュワードシップ活動に伴う判断を含めて、自らの役割と責務を認識できるよう、投資家との意見交換の場を持ち、自己研鑽に努めます。

原則8. 機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである。

当社は、議決権行使助言会社や年金運用コンサルティングのような機関投資家向けサービス提供者ではありません。そのため、本原則は当社には適用されません。